底辺ちゃんねる。

底辺住民の暮らしぶりと思考を晒します。

井上尚弥の圧勝に想ふ。

無敗王者相手でも2RKO。やっぱり強かった。

むかしね。WOWWOW契約してた時期があったんですよね。

むかしは関西の日曜日の定番番組と言えば吉本新喜劇だったですけど、我が家ではジョー小泉氏と浜田剛史氏が日曜の顔になってた時代がありました。

その頃に思ったことは、日本人ボクサーも負けたら引退なんてこと言わずに、何回でも負けては起ちあがればいいのにってことです。

ボクシングの勝率は、どちらかが勝ち、どちらかが負けるわけですから、単純に50%ということになります。

なのに日本人のボクサーは「負けたら引退します。」って言ってる人が多くて、それを潔いと称える傾向もあったように思います。

WOWWOWで世界のボクシングを見てた時期には、それにすごく疑問を持ちました。

強者同士が試合をすればどちらかが負ける。いちいち引退してたら良い選手が消えてしまう。

そして、負けを恐れるが故に、強者を避けてマッチングしているように見えたのも残念でした。

レナード、ハグラー、ハーンズ、デュランの時代までさかのぼらずとも、世界のボクシング界では強者同士が自分の強さを証明するために潰しあいをしていました。

負けが付くことは決して恥ずかしいことではなく、むしろ黒星の可能性から逃げることの方がよほど情けないことだと思えました。

日本人チャンプの中には、世界チャンプとは名ばかりの自分の強さと勇敢さを証明しようとしない人もいたように思います。

例えばです。タレントのガッツ石松さんなどは、TVで笑われることがあっても私の心中では、「その人はR・デュラン相手に6Rもったんだぞ。そんなレジェンドと試合したこと自体すごいんだぞ。」なんて思ってました。

日本のボクシング界では敗北は価値がなかったかもしれませんが、世界的には誰とどう戦い、どのように負けたのかは極めて重要で、むしろ強者に臆することなく挑んで散った場合は格が上がる傾向すらあるのではないでしょうか。

で、日本の世界チャンピオンの中には、ベルトと戦績を大事にするあまり、相手を選んで防衛を重ね、世界には強さをアピールせずに国内向けにチャンピオンであることを誇るかのごとき井の中の蛙のような人もいたように思います。

ところが井上尚弥は真逆です。

その強さを恐れられ、井上にどのように挑み負けたのかが語られるような存在の選手です。

このような日本人が出てきたのは初めてのことです。

そして、先日行われたE・ロドリゲスとの一戦。

ロドリゲスは果敢にリスクを恐れず井上に挑み、1Rは互角以上に攻め込みました。

2R開始から急にギアチェンジしてきた井上に対処できずあっさりとKOされてしまいましたが、私の中でのロドリゲスの価値は上がりました。

1Rの戦う姿勢と、試合後の潔さは立派だと思いました。

次はN・ドネア戦です。

かつては西岡利晃氏が果敢に挑んで名を上げた相手です。

強者に果敢に挑戦し、強さを証明し続け、井上と同じように恐れられた人物です。

とはいえ、彼ももう36歳です。

西岡がドネア戦を最後の花道としたように、もしかするとドネアも井上戦で最期を飾るのかもしれません。

強者に挑んで散ることを引退の花道とする。

それくらいのメンタリティーがないと、ボクシング強国にはなれないのかもしれません。

ボクサーは負けを恐れるよりも、強者に挑まないことを恥じるメンタリティーを持って欲しい。

そのような精神が日本のボクシング界に浸透すれば、パッキャオのような偉大な王者を生み出す土壌になるような気がします。

井上も10年後には、現在のドネアと同い年になります。

それまでどのような夢を見せてくれ、どのような現実を叩きつけてくれるのでしょうか。

楽しみに追わせてもらおうと思います。