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進撃の巨人 108話 正論  を読んで想ふ。考察【ネタバレ含む】

エレンほど分かりやすい人間もいない。

単純な人物なので分かりやすいですよね。それに対してコニーもわかりやすい。ただひたすらに馬鹿丸出し。今月号でも、ずいぶんとズレたブチ切れ方をしてた。エレンが何を考えているか…。

地鳴らし発動は避けたい。ヒストリアを犠牲にしたくない。誰も巨人の継承者にしたくない。

つまりは…

巨人の歴史を終焉させたいってことですよ。

とってもわかりやすいですよね。ちゃんとそういう風に描かれてますよね。なのに、娯楽作品ってのは、素直に描くわけにもいかなくて。お馬鹿さんなコニーを使ってミスリードを誘います。

この作品で、主人公のエレンは全然活躍しません。立体機動装置でも、巨人としても。巨大な巨人に変身しても活躍が出来ない主人公なんて前代未聞です。それでも、漫画史に残る立派な主人公だと思います。

この作品全体に流れる空気感は、エレンの精神世界そのものだと思うからです。

物語の前半の井の中の蛙な人類は、エレンの幼稚な正義感そのもの。世界に触れ、この世の過酷さと残酷さと人類の愚かさを知り、経験を重ねた物語は現在のエレンの精神そのもの。

エレンが何をしでかすか、コニーたちは恐れていますが、何も突拍子もないことはしません。エレンは現実主義者だからです。作者が現実主義者だからです。

現実主義者というのは、現実を認識し、現状を把握する事に長けています。状況を把握、認識することで改善し、打破しようとします。

理想主義者というのは、認識、把握を苦手とし、代わりに新たな理想を思い描きます。創造者です。思いもよらぬことを考えて実行に及ぶことがあります。

エレンも作者も現実主義者なので、突拍子もない方向には進まない。用意された材料を吟味し、料理をしていくことになります。

とはいえ、材料の全ては未だ読者には届けられてはいませんが。エレンの表情には覚悟の大きさが見て取れますので、ほぼ全ての材料を得たのではないでしょうか。読者には届けられていない大きな材料というのは恐らくは....

結晶化した巨人能力者は死なない。

という設定でしょうね。その設定のためにこそ、早い段階でアニが物語から去ることになったのだと思います。

で、今までに登場した設定や伏線も併せて鑑みて、エレンは最後の行動を起こすんでしょうね。

その行動とは、

「一匹残らず駆逐してやる。」

てことで間違いないと思うのですが。エレンの精神の物語ですしね。エレンは漫画の主人公としては、例がない程に戦闘での活躍がない。知性を生かしての活躍もない。されど、精神力の勝負ならば、どんな漫画の主人公にも負けないことでしょう。

アニメ版season3のオープニングも、エレンの精神世界と現状の姿とラストシーンを暗示している気がしますよね。

誰にも負けない強い精神をもち、人類の歴史上最も悲惨な運命をも進んで受け入れる強い男。それがエレン・イエーガーでしょうね。

ライナーもわかりやすい男のはずなんだが。

省略されていましたが、イェレナ顔バレしちゃいましたね。おかげでジークの計画がバレました。しかしですよ…。ジークってそんな間抜けな作戦を立てますかね。ピーク&ポッコを穴に落とす役目は誰にでもできること。わざわざ右腕にやらせなくてもねえ。

穿った見立てではありますが。

わざとイェレナに顔バレさせたのではなかろうかと。それを受けての、ラストシーンのライナーではないかと。

今までのライナーならば、覇気のない感じかな。ジークが裏切ったことで吹っ切れて燃え上がった?違うと思うなあ。そんなことでは犯した罪の意識は消えないでしょう?

ライナーはジークの誘いにのったってことじゃないですかね。

エルディア民族を解放する戦いに参加する。正義の高揚感が、罪の意識を打ち消しているのではないでしょうか。

エレンもジークも本心は伏せたまま。

ジークは壁内人類を騙しているか?なんらかの行動に出るだろうか?

答えはYESだと思います。ジークは何かを隠していると思います。恐らくはエレンに告げたと思います。エレンにその気がないと、どんな計画を立てても無駄ですから。いや、エレンにその気がなければイェレナにでも食わせればいい。

何故伏せるのか。実際にやろうとしていることは真逆だからです。ヒストリアを犠牲にする気などハナからありません。だからエレンはのるんです。だから覚悟を決めたのです。

ジークがやろうとしていることは、壁内人類にとって、最も大事なものを捨てさせること。言わないんじゃない、言えないんですよ。

ヴィリー・タイバーの住所が天国か地獄化は知りません。どちらの住人であったにせよ、イエーガー兄弟の奮闘ぶりを、目を細めて見ているのではないでしょうか。