底辺ちゃんねる。

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全国高校野球選手権 第百回記念大会終了に想ふ。

百回記念に相応しい素晴らしい大会でした。

勝戦が終了し、全日程が終わりました。決勝戦は、大阪桐蔭VS金足農。大阪桐蔭が勝てば、史上初の二度目の春夏連覇。金足農が勝てば、史上初の東北勢の優勝。どちらが勝利しても、史上初の快挙という注目の一戦でした。まさに百回記念大会に相応しい決勝戦となりました。

ところで、日本人の国民性として、「判官贔屓」というものがあるそうです。分が悪い、劣勢である方を応援することを言うようなのです。実は、大阪府民である私も、金足農を応援していました。私もどうやら、立派な日本人だったようです。しかし残念ながら、またしても白河の関を大優勝旗が超えることはありませんでした。(北海道除く)

金足農を応援しながらも思いました。

一回戦で当たっていたら、大阪桐蔭にだって勝てる可能性は充分にあったな。と…

そして、

一回戦で大阪桐蔭を破り、決勝戦まで来ても、相手がどこであろうと厳しい戦いになっただろうなと。

金足農のエース、吉田投手は秋田県予選から一人で投げ抜いてきたそうです。それは、もちろん立派なことではありますが、少し休ませてあげられなかったものかと思ってしまいます。金足農の中泉監督からしてみれば、ここまで勝ち抜いてこられたことが想定外だったのかもしれない。一戦一戦、エースを使い、ベストメンバーで全力で戦い抜いた結果が、甲子園の決勝進出という素晴らしい成果につながったのだと思います。それでも、休養を与えてあげるべきだったのではないかと思います。

かつては、地方予選から甲子園大会を一人で投げ抜くことは美談となりました。今現在でも、選手に対しては敬意を持ちます。しかし、指導者に対しては、疑問を禁じえません。

本日の決勝戦。先述の通り、私は金足農を応援していました。それでも5回くらいには「もう見ていられない。早く変えてやってくれ。」そう思いました。もちろん、マウンドの吉田投手は投げ続けたかっただろうと思います。選手は続けたいと思うのは当たり前です。少々残酷であってもストップをかけるのも指導者の仕事であり、責任であると考えます。

それは、ボクシングのセコンドがタオルを投げるのと同様だと思います。

全メンバーが地元出身という秋田の県立農業高校が、決勝戦まで勝ち進んだという快挙。それを褒めたたえる気持ちは私も当然持っています。ですが、一人の投手を酷使したことが、その高揚感に覆い隠されてしまうことはあってはならないと思います。また、その快挙に水を差してはならないという空気を醸成し、言えなくなることも問題です。

何年か前に、済美高校の安楽投手が一人で投げ抜いた事が、米国でも話題となりました。虐待行為というような声もあったようです。高校野球の歴史も精神の何も知らないお前らが言うな。私もそう感じました。とはいえ、かつてのスポ魂は現在の社会のモラルに適応することはできません。高校野球の繁栄のためにも、過剰な投球数を慎む指導は必要でしょう。もしも、自主的にそれが出来ない高校が現れるのであれば、新たなルールをつくり、規制をしていくしか方法がなくなってしまうでしょう。そういうルール作りをしなくても良いように、各指導者が自主的に投手の球数を制限していくべきだと思います。

今回の金足農の快進撃も、吉田投手の連投なしにはありえなかった。それをしてはいけないというのであれば、選手層が厚い強豪私学が更に有利になるではないか。

その通りだと思います。それで良いと考えます。つまり、一人の投手に頼り、予選から甲子園まで、十連投もさせないと勝ち抜いていけないというチームであれば、勝ち抜いて甲子園に出る権利などないという考え方です。

このままでは、いずれ球数制限、日数制限のルールが出来ることは避けられないでしょう。そうならないためにも、暗黙の了解として、

ひとりの投手に頼らなければ勝ち抜くことが出来ないチームは、勝ち抜く資格がない。

これくらいの意識を共有すべきだと思います。それが出来ないのであれば、投球制限ルールを新設すべきです。

ちなみに、金足農の二番手で登板した打川選手。素晴らしいピッチングでしたね。外角低めに決まる指にかかった真っ直ぐなどは、そうそう打てそうにない球でした。打川投手も上手く起用して、勝ち抜いていくことこそ、監督の巧みな采配と言えたのではないでしょうか。

 

レジェンド始球式。最高でしたね。いかにもだった桑田真澄さん。予想外にいい球を投げた78歳の板東英二さん。箕島の石井投手の始球式を見守る星稜出身の主審堅田さん。星稜高校の前で始球式を行った松井秀喜さん。そして、東北勢初優勝に挑み、叶わなかった太田幸司さんの始球式から始まった金足農の東北勢初優勝をかけた決勝戦。出来すぎというか、神様のいたずらというか。最高の百回記念大会だったと思います。

若年層の野球人口の減少が叫ばれるようになって久しいです。野球を取り巻く環境に問題がないわけではないでしょうが、アマチュアは頑張っていると思います。NPBも、新しい世代のオーナーや関係者の皆様方に頑張っていただきたいです。

甲子園大会が、二百回、三百回と繁栄することを願います。日本の野球が更なる発展を遂げることを願います。

大阪桐蔭、金足農の選手の皆さん、そして全国の高校球児の皆さん、お疲れさまでした。そして、2、3年生の皆さんは新チーム頑張ってください。