生まれて初めて天下一品で「あっさり」を注文してみた。
天下一品と言えば「こってり」一択ですが。
生まれて初めて天下一品に行ったのは十代の頃でした。
友達に連れられて行ったのは京橋店だったように思います。
「天一にラーメンしばきに行こか。」と言われ、O府S市出身の私の脳裏に浮かんだのは「天下第一」のとんこつラーメン。
ところが、提供されたラーメンを見ると、ちょっと何かが違う。否、全然違う。
ドロッとした反液体状のスープ。
「液体のような固体のような…なんじゃこれは…」などと思いながら、恐る恐る口にしてみるとこれが衝撃的な味でした。
こんなラーメン、この世に存在したんだ。めっちゃうまいやん。
それ以来、唯一無二の「こってり」を食べるために、定期的に「天一」に通い始めて早や~十年。
すっかりジジイとなり、味の好みも変化してしまったのですが、それでも天一で注文するのはこってり一択。
当然だと思う。だって、こってりを頼まないのであれば、他のラーメン屋に行けばいいんだから。
「あっさり」なんてメニューもいつのまにやら存在していたけれど、
「それってグループ客のなかに、こってり苦手な人がいたとき用でしょ?間に合わせレベルのラーメンなんでしょ?」
大変失礼ながら、勝手にそう思ってました。
その認識が正しいかどうかは別としても、わざわざ天一に足を運ぶからには「こってり」を食べたい。というのが私も含めた多くの天一ファンの本音だと思うんです。
とはいえ、寄る年波には勝てない…。
パン屋に行くと、焼きそばパンや、ウインナーのパンなど、惣菜パンばかり選び、まるで食事の如くおやつを貪り食っていたのも今や昔。
「こってりラーメンよりうどんが好きかな。讃岐うどんよりも、麺も味も、柔らかくてやさしく、はんなりした感じのうどんが好きかな。」なんてなことをのたまう程度には年老いてしまいました。
もちろん、今でも天一のこってりは大好きです。
ところが、若い頃のように、「今から天一行こか。」と言われて「いこか。」とは答えにくいかもしれません。
「今日は無性にこってりが食いたい。天一に行くか。」という心構えがないと、あのこってりドロドロスープには立ち向かえなくなってしまいました。
先日、10月1日の天一の日に、毎年恒例のラーメン無料券をもらいました。
有効期間を見てみると、11月30日(土)までと書いてあります。
「今日までやんけ! ていうかよく気づけたな俺!」
いやいや良かったです。せっかくの無料券を無駄にせず済んだ。
暇だし、腹も減ってるし、中途半端な時間ではあるけれど、これから食いに行くか。
でも……
こってりの気分じゃない……。
さてどうしたもんか。で、思ったのが、天一歴~十年にして初めての「あっさり」を食うべき日が今日なのではないかと。
そのためにこそ、今日という日が訪れたのではないかと、超大袈裟な感慨に耽りながら天一を目指すことにしました。
未知との遭遇! 「あっさり」編!
訪れたのは無料券をもらった店でもある堺深井店です。家から近いもんで。
「土曜日だし、俺みたいに駆け込みで無料券を使う人が多いかも…。」
なんて思ってしまいましたけど、写真の通りの夕方アイドルタイムです。それなりの客数で落ち着いて食事が出来そうです。
「おまたせしました。」
「キターーーーーー!全然待ってないけどすぐにキターーーーーー!」
天一歴~十年にして、初めてのご対面です。
正直、おもてたんと違う。いい意味で。見た目は思ってたよりもはるかにウマそうです。
でもって、チャーハンも注文しました。これも初めてとは言わないまでも、天一で注文した記憶はほとんどありません。
個人的には、「こってり」のスープこそ、世界一「白飯」との相性が良いラーメンスープだと思っているので、チャーハンを食べたい気持ちを抑えながら、天一では「ごはん」を頼むのが常なんです。
「あっさり」を頼んだからこその、天一のチャーハンとの出会いでもあります。
はてさて、いちいち表現が大袈裟で文面がこってりしていますが、「あっさり」を見てみたいと思います。
えーーと。間に合わせレベルのラーメンなんでしょ?なんて言ってごめんなさい。
見た目は想像以上です。めっちゃうまそうです。
で、「あっさり」って商品名ですけど、どう見たって世間一般的な感覚では、あっさりラーメンってな見た目をしてませんよね。
こんなにたっぷり背油が浮いたラーメンを「あっさり」と名付けてしまえるのも、天一ならではだなあって感じます。
滅多に拝むことのない、天一のチャーハンもうまそうです。
見るからにパラパラしてそう。
はじめての「あっさり」いただきます。
うまそうなラーメンを伸ばしてしまうのは罪深いことだと思います。
てなわけで、早速いただきます。
うん。うまい。思ってたよりもずっとうまいです。
見た目通りの味です。醤油はちょっと濃い目で背油のコクが効いていてうまいです。
滋賀県に大きなラーメンチェーン店があるじゃないですか。
三遊亭だか笑福亭だかそんな名前の。ああいう系統の味ですかね。
麺は「こってり」の麺より細めなのかな。どうなんだろ。細い気はする。味は無問題。おいしいです。
チャーハンもパラパラのポロポロでおいしいです。
ラーメン屋さんのチャーハンって、店によっては仕込み時に一度軽く炒めておいて、注文が入ってからもう一度炒めてパラパラに仕上げるところがあるけど、ここもそうなのかなって気がする。(無責任な妄想)
先日の大阪王将もパラパラポロポロの炒飯がおいしかったのですが、パラポロが続くとふんわりしっとりした炒飯も食べたいなあとも思ってしまいます。
普段は「チャーハンはパラパラが正義!」なんてことを言ってるので調子が良すぎますけども。
なんだかんだでスープまで完食。
寄る年波には勝てぬとか言っておきながら、いまだ食欲はデブ街道まっしぐらです。
とはいえ、明日もお待ちされても、さすがに二日連続でラーメンはきついかな。うどんなら二日くらい余裕なんですけど。
天下一品の「あっさり」はうまかった。
天一の「あっさり」は想像以上にうまかった。
滅多に食べない天一のチャーハンもパラパラでうまかった。
だけど、次に来店するときは、やっぱり「こってり」と「ごはん」です。
それ目当てで今まで足を運んできた訳だし、これからもそう。
天一はやっぱり「こってり」の店ですよね。
もしも天下一品が全国チェーン展開しておらず、老若男女問わず多数の客を取り込む必要がないのであれば、店の評判を下げかねない「こってり」以外のバリエーションなんて必要ないでしょう。
こってり一本で「口に合わなきゃ来なくていいよ。」でいいんじゃないでしょうか。
だけど、実際にはあらゆる味覚嗜好をもつ多くの人の支持を受け、全国チェーン展開をしてくれたおかげで今日も歩いて天下一品に行けた訳ですから、天一の多様なラーメンに感謝感謝です。
むかしは電車で天一に通いながら、「いつかウチの近所にも天一が出来ないもんかなあ」って思ってたんですから。
今日もおいしかった。ごちそうさまでした。
PS
「あっさり」もチャーハンも、店舗によって違いが大きいかもしれませんね。
「天一あっさり」とネットで検索しても、背油のないホントにあっさりしてそうな画像もありますし。