底辺ちゃんねる。

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コンビニの悪名高いドミナント戦略の真実を語ろうと想ふ。

 

コンビニのドミナント戦略について語られるが…。

最近、今まで現代日本の王様として、時として人権侵害も含めてやりたい放題だったコンビニ業界に政府のメスが入るようになりました。

働き方改革を旗印とするならば、コンビニオーナーの生き方まで含めた改革を進めていくのは象徴的な事案となりうるでしょう。

コンビニのオーナー目線から見たコンビニ業界の暗部については、先日書きたいだけ書かせていただきました。

teihenchannel.hatenablog.com

今日は、悪名高いコンビニのドミナント戦略の真実を本部目線で書いてみたいと思います。

そもそもドミナント戦略とは何か。

ドミナント戦略とは、限られた地域に経営資源を大量投下して地域を支配してしまうことです。

「そういや俺んちの周りはファミマばっかだな。ファミマ同士が競合しちゃってるように見えるんだけど。」

これがまさにドミナント戦略が行われているところです。

一般的にはドミナント戦略のメリットが語られ、そのためにこそドミナント戦略が行われているような風潮となっています。


一般的に語られるドミナント戦略のメリットとしては

  • 同じ看板が多くあることで宣伝効果となり認知度が上がる。
  • 認知度が上がり、情報も共有出来ることで人材の確保で有利になる。
  • 店舗が固まっていることで配送が効率的になる。
  • 時として品切れ商品や備品の共有が出来る。

こんな感じでしょうか。

確かにこういった面もあるのですが、このためにこそドミナント戦略が行われているのかと言えば、ハッキリ言って違います。

本当に大事な事、本質は別のところにあるのです。

開店立地の選定は店舗開発部員が行います。

当然のことながら、コンビニが新規開店するにあたっての立地の選定は店舗開発の専門部署が行います。

彼らはいわゆるコンビニ本部員(スーパーバイザー)と呼ばれる人たちとは一線を画します。

店舗の運営に関してはド素人であり、店をオープンさせるまでが彼らの仕事です。

逆に言えば、店舗運営に関わるスーパーバイザーなどはドミナント戦略などには一切無関係です。

もちろん、開発部員たちは、スーパーバイザーたちとは違ったベクトルで仕事を進めます。

彼らがどのようにして立地選定をしているかは、一見とても常識的ですが、裏にはとんでもなく非常識な価値観が潜んでいます。

開発部員たちの裏に潜んだ価値観こそが、悪名高いコンビニの本当のドミナント戦略の正体です。

開店立地の選定はどのように行われるのか。

売り上げの良い店舗を作るには、相応しい立地の選定を行わねばなりません。

先日書きましたが、スーパーバイザーの価値観では、立地は売り上げには影響しません。(本心は当然別にありますが。)

接客、品揃え、清掃、この3要素が売り上げアップのための全てであると店舗指導をするのが彼らの仕事です。

対して開発部員の立場では、相応しい立地を探して開店をさせることが全てとなります。

  • 労働人口が多い場所や、夜間人口が多い場所。人通りが多い場所。
  • 店舗が目立つ場所。
  • 入りやすくて出やすい場所。
  • 競合他社店舗が少ない(いない)場所。

まあ常識的な感じです。ですが、もう少しだけ上げたいと思います。それがドミナント戦略の本質ですので。

  • 競合他社に近隣に出店される可能性が低いこと。

これなんです。これがドミナント戦略と呼ばれる事が行われる本質なんです。

開発部員は日ごろから担当する地域の街並みを見ています。

良い空き地や空き店舗があれば、目を付けていた場所に空きが出れば動きます。

人口、近隣の会社や施設、人通り、車の通行量や流れ、競合する他チェーンや飲食店、などを考慮します。

ここまでは常識的すぎて、小学生に「コンビニってどんな場所に建てればいいと思う?」と聞けば全部答えられてしまいそうです。

ですが、ここからが段々と非常識になっていきます。

常識的な調査とは別に、周辺のパチンコ店やファミリーレストランや工場や会社の経営状況を気にします。

小学生「近所の人が儲かってたらコンビニの売り上げが増えるから!」違います。小学生にはちょっとだけ難しい問題です。

答えは、お店や会社や工場が潰れてしまったら空き地が出来るからです。

その空き地に競合他社店舗がオープンするかもしれないからです。空き地が発生しないためにも近隣の企業が好調であって欲しい。

そして、借地の契約が切れそうな場所はないかと調べます。

コンビニを新規オープンさせる際には、周辺に空き地がないか、空き地が生まれそうな場所がないかを、開発部員は念入りにチェックをするのです。

ここからがいかにもコンビニらしい意識を発揮することになります。

競合他社が付け入る空き地がないか、空き地になりそうな場所はないかを念入りに考慮したはずなのですが、それでも街は生きているかのように変遷を遂げていきます。

なかったはずの空き地が生まれるのです。

それを発見した開発部員が思うことは、「他チェーンにこの空き地を奪われるくらいなら、ウチの店をオープンしてしまえ。」

これがコンビニ本部開発担当者の目線から見た本当のドミナント戦略の正体です。

競合他社店舗のオープンを防ぐために場所を自社で獲ってしまうのです。

過去にオープンした店舗からは当然のように、売り上げが下がってしまうとのクレームが入ることになります。

そのような場合にこそ、ドミナント方式のメリットをオーナーに騙って正当化をするのです。

もちろん、オーナーの不満は収まりません。オーナーにはほとんどメリットがないのですから当然のことです。

売り上げと利益が下がる可能性が大なのですから生活に関わります。

それでも、コンビニ店舗経営の経費はオーナーがもち、利益については分け合うのですから本部にはデメリットがありません。

あるとすれば、店舗のオーナーの信頼とモチベーションを失うかもしれないことですが、本部に文句を言ってきたりやる気を失えばそれを理由に解約にもっていけば良いだけの話です。

また、このようなドミナント戦略を行えば、既存店の売り上げは下がるばかりですが、各店舗のリスクを負っているのはオーナーであり、本部が負うのは(いただくのは)利益からのロイヤリティだけですので、増収はあれど何ら損失はありません。

だからこそ、そこら中の角地に同じ看板があるなどという異様なドミナント出店が行うことが出来てきたのです。

もしも、コンビニ全店が直営だったならば、既存店売り上げを下げてしまい経営効率を下げてしまうドミナント出店など出来たハズもありません。

コンビニ業界が騙るドミナント戦略のメリットなど、自己正当化のための詭弁に過ぎないのです。

コンビニオーナーを苦しめるドミナント出店を防ぐ手立てはあるにはあるが…。

ここからは、私個人のトンデモ自論になりますのでご容赦下さい。

バブル崩壊以降、各業界で再編が行われてきました。

コンビニ業界においても、20~30年前と比べて、ずいぶんと看板が減り寂しくなったように思います。

私個人の価値観としては多様性を好みます。

格差はあった方が選択肢も増える。競争は多い方が切磋琢磨する。

そう思うのですが、コンビニについてだけは、もしかすると違う方向性から良い結果がもたらされることもあるのかもしれません。

サークルKサンクスが消滅したことは記憶に新しいです。

その流れのままに、日本のコンビニが一社に統一されてしまえば…。

そうすれば、本部開発員も競合他社と空き地を恐れることがなくなり、過剰な出店が止まって日本全国で適正な店舗数による適切な経営が行われることでしょう。

競争が無くなることによる商品価格の高騰もほぼ心配いりませんし。

現状ですでにメーカー品などはほぼ希望小売価格での販売であり、それ以上の値付けをしてしまうとボッタくりの誹りを免れませんから。

とはいえ、外資コンビニに参入されれば終了ですので、やはりトンデモ論はトンデモ論に過ぎませんね。