農水省が恵方巻の廃棄を減らすよう呼びかけていることに想ふ。
無駄だと思うんですけど…。
農水省がスーパーやコンビニに対して、恵方巻等での廃棄の削減を呼び掛けているそうです。
スーパーはともかく、コンビニは捨ててなんぼの商売ですから無駄かなあと思ってしまいます。
コンビニの廃棄にメスを入れることは、コンビニの存在自体を否定するに等しいことかもしれません。
スーパーや他業種と、コンビニの相違点。
それは、スーパーなどは商品を捨てれば捨てるほど経費が嵩んで経営を悪化させる。
コンビニは商品を捨てれば捨てるほどに儲かるということです。
「商品を捨てるということは金を捨てるのと同義。儲かるわけないやろ!」確かにそうなんですけど、それは店舗経営をする加盟店のお話です。
コンビニは、加盟店は本部とFC契約をして、消費者相手に商売をしています。
恵方巻をたくさん仕入れてたくさん捨てれば、当然赤字にもなります。
しかし、コンビニ本部はそうではありません。
コンビニ本部はFC加盟店からのロイヤリティで利益を得ています。
コンビニ本部の直接的な商売相手は消費者ではなく、FC加盟店であるとも言えます。
加盟店を間に挟んで間接的に消費者と向き合っていると言えます。
毎年大量に捨てられる恵方巻。あれは加盟店のお金を捨てているのです。
製造者は利益を得ていますし、本部もリベートなど発生しているかもしれません。
農水省の呼びかけに返答するのは弱小経営者のコンビニオーナーではなく、客であるコンビニオーナーに金を捨てさせて利益を得ているコンビニ本部です。
そんな呼びかけをしても無駄だと思うのですが。
コンビニが最も恐れるのは機会ロス。
コンビニが最も恐れ、加盟店に対して教育することが「機会ロス」を発生させるなということです。
機会ロス、またはチャンスロスとは一体何かと言いますと、客の欲求を逃してしまうことを機会ロス、チャンスロスと言います。
例えばです。
コンビニにから揚げ弁当が食べたいお客さんが入店しました。
しかし、から揚げ弁当は売りきれ。仕方なくそのお客さんは他店に買いに行きました。
これが機会ロス、チャンスロスと呼ばれるものです。
FC加盟店は、機会ロスを発生させずに売上を伸ばしなさいと教育と指導を受けます。
機会ロスを発生させない方法は簡単です。
品切れしないようにたくさん発注をすればよいだけです。
しかし、品切れなく大量の在庫を置いておくということは、同時に廃棄もたくさん発生する可能性があります。
コンビニの場合、恵方巻シーズンだけではなく、通常営業時から経営方針を見直さないと食品大量廃棄の是正は出来ません。
それをさせようとするならば、農水省だけではなく、社会全体からの圧力が必要だろうと思います。
ですが、
「コンビニは24時間やってて便利だ。」
「外国人観光客にもコンビニフーズは受けが良い。」
「深夜に行くとからあげクンおいてない店がある。ちゃんとしろ。」
こんな感じでは変わらなければならないのは日本社会の意識の方なのかもしれません。
食品廃棄を減らすべきだと言うのであれば、消費者の方も売り切り品切れを許容しなければいけません。
コンビニの現実。
スーパーの廃棄は減らすべきですが、注意喚起の必要もないようにも思います。
大量廃棄=仕入れた商品を捨てるのは金を捨ててるのと一緒ですから経営を圧迫します。
コンビニの勢いと商法につられてしまいましたが、恵方巻商法はコンビニ発祥でありコンビニ向きの商法です。
スーパーでは自浄作用で徐々に沈静化していくと思えます。
とはいえ、日本社会の意識、雇用者と労働者の意識は変えないといけないでしょう。
自社の商品の購入を迫る。スーパー従業員に恵方巻の大量購入を迫るということはあってはならないことだと思います。
役所が注意を喚起するならこちらの方こそ是正すべきかと思います。
コンビニについては、そもそもコンビニのFCシステムから見直すか、大量廃棄を罰する法でも作らないと無理でしょう。
コンビニの加盟店と本部の力関係は圧倒的に本部が上です。
本部が聞こえのいいことを言ったとしても全部建前でしかありません。
加盟店の生殺与奪権を本部が握っている以上、加盟店は逆らえません。
そして加盟店がたくさん廃棄をしたとしても本部は1円も損をせず、利益の拡大にしか繋がらないというのであれば、本部が加盟店に対し廃棄を迫るのは当然と言えます。
コンビニ加盟各店は本部とFC契約を結んでいます。
契約書の中には、「本部の指導に従う。従わなかった場合、本部はFC契約を解約できる。その際、加盟店は違約金を払わなければならない。」普通にこんなこと書いてますから。
「食品廃棄が少なすぎる。本部はもっと廃棄するように指導したのに従わなかった。よってFC契約解除の上で違約金を支払え。」
これは現実にあることです。
店舗からオーナーがいなくなってもビクともしません。
前のオーナーから違約金を取り、新しいオーナーからは加盟金を取りますから儲かるだけです。
日本国民全体の意識の問題なのかもしれない。
食品の廃棄は、一般社会では無くすべき、減らすべきという価値観が根付いていると思いますが、コンビニ本部から見れば食品の廃棄を減らそうとすることが悪だったりします。
「24時間からあげクンが食べれて幸せ。」
「24時間ハンバーグ弁当が手軽に買えて便利だ。」
それが実現できている裏では泣いている人たちがたくさんいるのかもしれません。
恵方巻の問題ではコンビニを叩く。
なのに、
「あの店は弁当の品揃えが良くないから嫌い。」
「深夜にファミチキがないのは許せない。」
それはおかしいです。恵方巻の問題と根本は同じです。
もしかすると、恵方巻問題を発生させ、コンビニオーナーを追い込んでいるのは要求が過大な日本の消費者意識なのかもしれません。
消費者天国日本を生み出したのは、時には自分を神と称する、尊大で過剰な欲求を持つ日本の消費者たち。
消費者天国日本を実現し支えるのは、愛想よく質の高い労働力を長時間低賃金で提供するサービス業従事者たち。
いつの日か、日本が真の意味で、ゆとりのある豊かな国になれることを祈ります。