日米野球 侍JAPAN VS MLBオールスターに想ふ。
なぜ侍JAPANチームを常設化するのか。
野球シーズンも終了し、一流選手たちは体を休ませると同時にメンテナンスをする時期に入りました。
そんな中、近年恒例となった侍JAPANこと、プロ野球の日本代表チームによる国際親善試合が今年も行われています。
台湾戦では敗北しましたが、MLBオールスター相手の第1戦、第2戦と、ギータこと柳田悠岐選手の大活躍もあり連勝スタートとなりました。
11日に行われた第3戦こそ落としはしましたが、観客席は大入り満員で上々の盛り上がりぶりではないでしょうか。
ところで、何故に1年間戦った各チームの主力選手たちが、休みを返上してでも一見無意味に見える国際試合に挑まねばならないのでしょうか。
おそらくはサッカー日本代表を意識してのことでしょう?
プロ野球選手にとっての国際大会といえば、歴史は短いですがWBCがあります。逆に言えば4年に一度のたったそれだけです。
サッカーのW杯のように、出場権をかけて長くて厳しい予選を戦うわけでもありません。
サッカーのようにチーム戦術が大事なスポーツでもありません。
はっきり言ってしまえば、そのときに調子の良い選手をポジションにハメれば勝てるスポーツが野球だと思うのです。
WBCの4年前に強いチームを作り上げても何の意味もないスポーツ。それが野球だと思うのですが。
では何故に侍JAPANを常設化するのでしょう。私が思うに、いや、多くの野球ファンが思っていることでしょうが、サッカー日本代表チームを意識してのことだと思うのです。
近年、特に若年世代のサッカー人気は勢いがあり、野球は押され気味だと言われています。
それが未来を担う子供たちの競技人口にも反映されているようです。
国家の威信をかけて、W杯をかけて、世界中の国が戦うサッカー国家代表戦。それを意識して、負けないようにと頑張っているのが侍JAPANなんでしょう。
よく日本はサッカーネイションではないと言われます。その裏にあるのは日本は野球の国だという意識です。
ですが、それも変わりつつあるのでしょう。野球関係者の立場からすれば、どぎゃんかせんといかん訳なのでしょう。
侍JAPANが力を入れるほどにMLBチームがショボくなる?
そんなこんなでNPBは侍JAPANチームを常設化し、サッカー日本代表のように専任の代表監督も置いて活動に力を入れています。
そうして力を入れれば入れるほどに、来日してくるMLBオールスターとやらが弱体化しているように思うのは気のせいでしょうか。
かつて、侍JAPANがなかった時代にも日米野球は定期的に行われていました。
MLBチームが各所属チームのユニフォームを着ているのと同じように、日本チームも阪神や巨人のユニフォームを着て試合を行いました。
古くはベーブ・ルースやルー・ゲーリックが来日し、沢村栄治と対戦しました。
私がリアルタイムで見れた時でも、バリー・ボンズやサミー・ソーサのようなホームランバッターから、ランディ・ジョンソンやロジャー・クレメンスのような豪腕投手も日米野球参加のために来日しました。
その当時の日米野球のMLBオールスターチームは、本当にオールスターと言えるようなチームでした。
今考えてみれば、何故に彼らのような超一流選手たちがオフシーズンを返上してまで来日してくれたのかが理解できません。
高額のギャランティがあって小遣い稼ぎにでもなったのでしょうか。それとも家族連れのオフシーズンの観光を兼ねていたのでしょうか。
とにかく、サッカーで例えれば、メッシやロナウド、ネイマールやエムバぺといったスター選手たちが勢揃いして、定期的に日本で親善試合をする。そんなのありえないでしょ。野球ではそれがあったのです。
しかし、近年は侍JAPANに力を入れるほどに、来日するMLBオールスターがショボくなっている気がします。
大変失礼ではありますが、今回の来日チームにおいて、かつてのレベルで選ばれて当然な選手は、ヤディアー・モリーナ捕手くらいではないでしょうか。
なぜ超一流のメジャーリーガーたちが来日してくれなくなったのか。
何故超一流のメジャーリーガーたちが来日してくれなくなったのか。私如きにはわかりようがありません。
ですが、もしも私がメジャーリーガーであったならと仮定をすれば来日したくない気持ちもわかる気がします。
かつては日本代表チームなどありませんでした。NPB対MLBの親善試合、友好試合でした。
観客席もTV中継でも、超一流メジャーリーガーたちへのリスペクトで溢れていました。
メジャーの長距離砲や豪腕投手の迫力あるプレーを観たいという観衆が溢れて、敵味方などなく素晴らしいプレーには拍手喝采が送られる雰囲気でした。
今はそうではありません。
侍JAPANはJAPANと胸に書かれた文字通りの国家代表チームであり、観客は鳴り物を使って国家代表チームの応援をし、MLBチームはその敵役となります。
何故に超一流のMLBプレーヤーたちが、わざわざ完全アウェーの日本に来日し、野球シーズンでもないのに、試合をする必然性もないのに、敵役を演じなければならないのか。
これでは来日してくれないのは当然のことでしょう。大変残念なことに、超一流のメジャーリーガーを日本で見る機会は、将来的にも失われてしまったのかも知れません。
今回、そして今後はどのようなプレーヤーが来日してくれるのか。
ファン・ソト選手のようなこれから一流を目指す若手が出場してくれればまだ良いと思います。
実際にはメジャー定着が危ぶまれる選手、米国以外で最も野球が盛んで大きなリーグがある国に自分を売り込みたい選手。要はNPB移籍も視野に入れた選手たちの日本への顔見世の場に日米野球はなりつつあるのではないでしょうか。
個人的には非常に残念に思います。昔ながらの日米野球であれば、カーショーやジャッジなど、綺羅星の如きスターたちを眼前で見る機会が与えられたのかもしれません。
ですが、現在のような無意味に思えるガチの姿勢だとスター選手に来日する意味がなさそうです。
そもそも野球人気の向上のためならば本当にやるべきことがあるのではないか。
野球人気の維持と向上を企図するならば、もっと他にやるべきことがあるのではないでしょうか。
NPBはリーグ戦です。このリーグ戦を盛り上げるように努力することこそNPBにとっての本来すべきことではないでしょうか。
サッカーの日本代表戦が羨ましいのは理解できます。ですが、野球にはサッカーような国際的なシステムがありません。
日本がたった一国だけで盛り上げようとしているのが現状です。米国にとっては全く価値を見出せないことに付き合わされているだけです。
そんなことに独りよがりにサッカーの真似をするくらいなら、もっと他に見習うべき点があるように思うのです。
スポーツビジネスの観点から見て、NPBは非常に遅れていたと思います。サッカーやJリーグから学べることは他にも沢山あるように思うのです。
チーム数を増加させること。地域密着型で「オラが町のチーム」を応援する体制を作ること。そのためにもチーム名から企業名を外すこと。
他にも野球的ではありませんが、リーグ戦とは別に短期決戦のカップ戦をやるなんていうのも考慮してみる価値はあるかもしれません。
そして何よりも、クライマックスシリーズが茶番過ぎます。一年間の戦いの過程を全くの無意味にしかねません。
日本は野球大国であり、世界屈指の競技人口を誇っています。
国家の人口は日本の半分以下、野球の競技人口ともなると100分の1以下?ではないかと推察される(私個人の根拠のない推察です)韓国ですらプロ野球チームが10チームあるのです。
日本もチーム数を増やしてリーグ数を増やすなり、リーグ内で地区を分けるなりすればシーズン終盤戦からポストシーズンが盛り上がると思うのです。
そして、チーム数を増やせば外国人枠も増やせます。日本でプレーする外国人野球選手が増えれば、特に野球後進国の選手育成をし、一流選手に育て上げることが出来れば、日本野球界の国際的な権威が増すと同時に、真の意味での野球の国際化とWBCの価値の上昇に繋げられるのではないでしょうか。
米国の野球人気は大したものではありません。
国民の野球ファン率は日本の方が上なのではないでしょうか。
ならば、NPBはMLBをもいつの日か凌駕してやると、そのくらいの気概を持っても良いのではないでしょうか。
今回来日しているMLBオールスターの選手たちもNPBがそうなることを歓迎すると思いますよ。MLBでダメならNPBで就活がしたい。そう思っている選手が大半でしょうから。
チーム数を増やし、NPBプレーヤーの席を増加させる。
それは野球大国日本にできる最大の国際貢献でもあると思うのですが。
侍JAPANの敵はサムライブルーですよね。そんな闘いに他国の野球選手が付き合う謂れもないですよね。本当に野球人気のためを思うなら、WBCと野球人気を世界に定着させる為の種蒔きでもした方が良いんじゃないかって思います。今のままじゃ独りよがりすぎません?