金足農 吉田輝星投手のプロ志望届提出に想ふ。
若者が自由意思で進路を決定できたことに胸を撫で下ろしました。
今年の夏の甲子園を沸かせた金足農の吉田輝星投手が、10月10日に記者会見を開きプロ志望を表明しました。
今夏に一躍ヒーローとなった彼の去就は注目を浴び、インタビューにおいて「プロ野球選手になりたい。巨人に行きたい。」となかば誘導尋問をされ、高野連から厳重注意を受けていました。
この件では、高校球児には自由意思を表明する権利すらないのかと憤りました。
そればかりか、どうやら彼の希望する進路には進めないのではないかという問題も出てきていました。
マスコミの報道によると、八戸学院大学入学が内定しており、金足農と大学との関係を壊さぬ為にも入学しなければならない。
また、八戸学院大学の野球部監督から指導を受けた恩義があり、入学を断れないといった報道が聞こえていました。
そして実際に、春夏連覇を達成した大阪桐蔭の選手たちが早々にプロ志望届を出している中で、注目の吉田選手はしばらく音沙汰がありませんでした。
10日の進路表明までに、相当な紆余曲折があったのだろうなと想像されます。
それでも最終的には、高校生が自由意思で進路を決定することができたことに胸を撫で下ろしました。
教育は子供の可能性を引き出すために行われる。
教育は子供の可能性を引き出し、子供が望む人生を歩めるよう助けるためにこそ行われるものだと思います。
決して大人の都合で歩む道を押し付けたり、選択の幅を狭めるようなことがあってはならないと思います。
今回、プロ入りの希望を早々に表明し非難を受け、また希望する道には高校、大学両者の都合によって進めないかもしれないとの報せには心苦しくなりました。
学校は子供の希望する未来を実現する手助けをするためにこそ存在する。
それを忘れて、自分たちの都合によって子供に不本意な選択をさせるようであれば、教育者、教育機関として失格だと思います。
また、昨今話題のハラスメントの最たるものであり、人権侵害と言えるでしょう。そのような事には至らず、本当に良かったと思います。
桑田真澄投手の巨人入り時を思い出しました。
今から33年前のこの時期のことです。当時PL学園3年生だった桑田真澄投手は早稲田大学への進学希望を表明していました。
しかし、巨人からドラフト1位指名を受け、プロ入りしてしまいました。
これに激怒した早稲田大学側は、PL野球部からの入学の門を閉ざしたと言われています。
時代背景が今とは違うとはいえ、特定の学校からの生徒受け入れを拒否するとは如何なものでしょうか。
また、当時17歳の桑田少年の行いに対するペナルティーとして、適切なものだと思われるでしょうか。
17歳の少年には背負いきれない過大な罰を与えることが教育機関として適切な行いだったでしょうか。
現在まで記憶に残る桑田投手の巨人入りの一連の事案が事実であるならば、ペナルティーを与えられるべきは少年の未来に影を落とそうとした教育機関の側にあり、罪に相応しくない過大な罰を無関係な学生にまで及ぼした早稲田大学の教育者らしからぬ罪だと考えます。
内定を反故にして少年が希望を叶える。教育者なら祝ってあげるべきでしょう。
有力な学生に内定を反故にされたので損益が発生し、入学時と比較し不利益が発生したので罰を与える。
ビジネス優先のエセ教育機関は、学校法人の看板を下ろし一般企業にでもなればよろしいのではないでしょうか。
また、桑田投手の件が再び起こった場合、少年に過大な社会的責任を負わせようとする大学側こそを罰するべきと考えます。
今年は日本社会のブラック体質が浮き彫りになる事件が頻発した。
今年はスポーツ界の様々な不祥事が報道されました。
日本のスポーツの世界に、いかにハラスメントが蔓延しているかを思い知らされました。
ですが、本当にスポーツの世界だけの話なのでしょうか。
スポーツ界が世間の注目を浴びるからこそ表面化したのであって、実際には日本社会全体で大昔から常態化していた問題なのではないでしょうか。
あらゆるハラスメントは日本社会に染みついていて、あまりにも日常的過ぎたがために鈍感でいたのだと思います。
ブラック企業などという言葉も定着して久しいですが、組織を優先して個を犠牲にするのは日本社会の常識であるばかりか美徳とされており、ブラックな社会にブラックな企業が溢れるのは、むしろ当然のことのように思えます。
高野連も学校の校則も、当たり前のように運用されていますが、ハラスメントや人権侵害で溢れています。
国連の人権委員会による日本に対する勧告などは、おかしな意志が介入していると思われるために随分とズレていますが、それでも日本人自身が足元を見つめてみると、私たちの社会には人権侵害が溢れていることに気づかされます。
日本人全体の意識が変わっていかなければ、社会に蔓延したハラスメント体質を変えていくことは出来ないと思います。
運命のドラフトは今月25日。
結果的に一人の高校生が自分の望む進路を選択できたことは非常に良かったと思います。
こんなあまりにも当たり前すぎる権利すら行使出来るかどうかハラハラして見守らなければならない社会はどうかしていると思います。
プロ野球と学生野球の間に、かつてゴタゴタがあったことは理解します。
その対立が子供の未来や権利に影響して良いはずがありません。
大人の事情で子供に制約を強いるのではなく、子供が望む人生を生きられるように見守り、助けるのが大人と社会の務めではないでしょうか。
それが大人の事情で実現できないというのであれば、ハラスメントと人権侵害の蔓延するブラック社会の誹りを免れないと思います。
運命のドラフトは今月の25日です。
吉田投手だけではなく、大阪桐蔭の根尾くんや藤原くんなど野球に懸ける彼らにとって運命の日です。
是非、注目して見守りたいと思います。
ところで…アドゥワ大ってアドゥワ誠の兄貴みたいですね。プロで兄弟競演とか実現したら胸熱です。