ひきこもりについて想ふ。

夏休みも終盤を迎えて。

TVを見ていると、「無理して学校行かなくていいよ。」なんて聞こえてきた。特に気に留めることもなかった。先ほど、ネットニュースを見ていたら、千原Jrさんが「無理して学校いかんでええよ。」みたいな。なんやねんと思ったら、夏休みがそろそろ終わるからか。近年、子供の自殺が多いのが、休み明けらしい。自殺するくらいなら無理して学校行かなくていいよってのはごもっともにも思える。だけど言いたいこともあるんですよね。底辺らしい言い分ってあるんですよね。

底辺たる私の引きこもり経験を話しましょうか。

私が引きこもりになったのは、16歳の時でした。何故引きこもりになったのか？自分でもよくわかりません。今になって客観的に振り返って思うことは、精神的な疲労が原因だったのではないかということです。高校生になり、周辺環境が変わる。自覚はなかったが、変化に対応するために、知らず知らずに精神が擦り減っていたのだと思います。

「無理して学校行かなくていいよ。」そんなセリフ必要ありませんでした。精神的に死んでいましたから。言われなくても行けませんでした。部屋で一人で死んだようにボーっとする日々。

ある日、後頭部を触ってみると、頭がぷにぷにします。十円ハゲ、円形脱毛症でした。最初は、十円ハゲでしたが、みるみる拡大してゆき、最終的にはハンドボールハゲくらいになりました。その間も、親は私に病院に行こうと勧めてきます。もちろん拒否です。決まり文句は、「うるさい！入ってくんな！」です。病院どころではなく、どこにも行きません。誰とも会いたくありません。それが引きこもりってもんです。理屈じゃありません。ただ、どこにも行きたくないし、誰にも会いたくないのです。

親の立場からすると、このまま永遠に引きこもるのではないかと思ってしまうかもしれません。すべての引きこもりに当てはまる訳ではないでしょうが、私の場合は余計なお世話でした。

引きこもりになりたい人間なんていない。

精神的に死んでいる状態では、何を言っても無駄です。しかし、永遠にその状態が続くわけではありません。いずれ、我に返る時がやってきます。その時に思うことは、このままじゃ駄目だ。俺はこんな人生を生きるために生まれてきたんじゃない。

誰しもが思うはずなんです。全員不本意にも程があるんです。私の場合も、多くの場合も、10代という大事な時期。伸び盛りの時期。そして自分の可能性を信じることが出来る時期なんです。そんな時期を「このままでなるものか。」必ずそう思うようになります。

では安心か。いいえ。ここからがつらいんです。不本意な状態から抜け出したい。だけど、人間が怖い。誰にも会いたくない。外に出たくない。それでもなんとかしなければ。葛藤が続きます。焦りが募ります。結局、私が引きこもりから脱出するには、約3年の時間を必要としました。同級生たちは、大学に進学、または就職していました。そして友達は一人もいない状態となっていました。それでも、外の世界は楽しかったですよ。引きこもり期間が長かったせいか、人生の出遅れを気に留めるよりも、底辺なりに仕事をして、新しく友達を作って遊ぶ。それが楽しかったです。でもね。来るんですよね。何回でも。精神的に死んじゃう時期が。人生は山あり谷ありです。一度引きこもりをやっちゃうと、多分完治はしない。調子の良い時と悪い時を繰り返すだけ。それと上手く付き合っていくしかないって感じです。もちろん、私の場合であって、誰もがそうだって訳ではないと思いますが。

世間の目はとっても冷たい。

自殺するくらいなら無理して学校行かなくていいんだよ。こんなことを言うなら、引きこもりは問題だ。て言うのはおかしいと思うんです。引きこもりって自殺を踏みとどまった人間が多いと思うんで。自殺するくらいなら働かなくていいって言うのなら、引きこもりも認めてあげればいいのにって思う。引きこもりに対する世間の目って冷たいですよ。当然？当然ですよね。私もそう思います。だって、人間って他人の自尊心を粉々に砕いて、それを喰らうのが大好物ですもんね。人間は、身体の栄養は食品から摂りますよね。精神の栄養は、主に他人の自尊心を食うことで得ますよね。だから仕方ないんですよ。ちょっとでも違いを区別されれば、蔑み貶められる。下の立場に立てば、上から攻撃される。どうしようもないです。人間の本能なんで。

ところで、自殺という概念と言葉はおかしいと思うんです。ほとんどの場合、他殺ですよね。誰かが精神的に追いつめたり、自尊心を破壊したりで自殺に追い込んでるケースがほとんどですよね。それって殺人だという認識をもつべきだと思うのです。そして、日本社会は会社などの組織でなかば意図的に自殺に追い込んでいるケースがあると思うんです。殺人罪に問うべきだと思うんです。

いつものように脱線事故が起こってしまいましたが。

いつも通り、大きく話が逸れてしまいましたが、学校行かなくていいよなんて優しさを発揮するのであれば、その先にある引きこもり生活にも理解を示してあげるべきなのではないでしょうか。自殺するよりは、学校へ行かずに引きこもりになった方がいい。だけど、引きこもりは軽蔑する。っておかしくないですか。そういう目線が、引きこもりになる原因、自殺の原因だったりするんですけどね。自殺の話は改めて別の機会にしようかな。思うところいっぱいあるし、長くなっちゃうし。

最後に、経験者として思うのは、学校行かなくてもいいなんてわざわざ言わなくても、勝手に行けなくなりますよと。行けるものなら行った方がいいに決まってます。私なんて、16歳～19歳という貴重すぎる時期を失ってますから。取り返しつきませんから。

ところで、精神的に死んでる時期のことってほとんど記憶にないんですよね。何もしていないから思い出すようなことがないのか、心身が低調だから記憶力が低下してるのか、どっちかはわからないんですけど。

他人の自尊心を傷つけて自分の自尊心を満たす。全人類がこれをやめれたら、劇的に自殺は減ると思うんですけどね。本能だから無理？そんなことないです。知性が高ければ、高い理性を持てます。高い理性があれば、本能を抑圧することも可能になります。人間はゴキブリじゃないんだから。高い知性を自慢するなら、高い理性で本能ぐらいコントロールできないとね。