未だに冷めやらぬサイン盗み疑惑に想ふ。
ネットを観ていると未だに騒いでます…ってワシか。(笑)
春の選抜において、2試合にて問題が持ち上がった、高校野球におけるサイン盗み問題。
先日も思ったことを書きましたが、「そのうちほとぼりが冷めるだろ」と思いきや、未だに熱は冷めやらずといった感じです。
考えてみれば、私のような人間があ~だこ~だとネットにこうやって書いているからですね。(笑)
熱を発しているのは自分だったという。
ところで、先日も書いたとおり、高校野球におけるサイン盗み行為には、個人的には反対です。
最大の理由はルールで禁止されているからです。
それさえなければ、サッカーでいうところのマリーシアであり、それも技術のうちでしょう。
しかし、高校野球においては禁止している現状に賛成です。
高校野球はクラブスポーツではありません。
高校野球は学校の部活動です。 基本的には、五輪や国際大会とも繋がっていません。(毎年日本代表が国際試合を行ってはいるが。)
学校の部活動という場において、サッカーのマリーシアのような精神は、日本の教育風土に合わないと思います。
「ズルはいけないよ。相手に敬意を払い、公正に、正々堂々と戦うんだよ。」
このような精神こそ、日本の教育風土には合致すると思います。
ルールを守ってフェアプレイは当然です。
先日も書いたように、ルールが守られ、学生たちが守られる環境づくりこそ、新たな時代における高野連の役割りだと思います。
パワハラも、過大な罰も、平成という時代とともに捨て去ってしまいましょうよ。
ネットの声を見て思うこと。
サイン盗み行為について、ネットの声を見ていると誤解も多々あるように思います。
サイン盗みと言いますが、厳密にはサイン伝達行為が違反なんです。
例えばです。2塁ランナーが塁上で捕手のサインを見て、次の一球がスローカーブであると見破った。
そして、投球と同時にスタートを切り、3盗に成功した…。
これはOKです。何の問題もありません。
ルールで禁止されているのは、次の一球がスローカーブであることを打者に伝達してはならないということです。
サインを盗むのが違反なのではなく、それを伝えるのがダメなのです。
そして、サインを盗むのが違反なのではなく、捕手がアウトコース、インコース、どちらに構えているかといったことを伝えるのも違反なのです。
サインが盗めず、球種がわからなかったとしても、外か内かがわかるだけでも的は絞りやすくなります。
もっと突っ込んで言えば、ネットの声が理解していないであろうことがあります。
それは、甲子園強豪校の中には、グラウンドの外でも戦いを繰り広げているような学校もあるということです。
スタンドから、おじさんが打者に対してサインを送るようなこともありうるということです。
グラウンドの外に解析班がいて、サインや投球パターンの解析をして、それをスタンドから打者に伝えるようなこともありうるということです。
戦いの場において勝利を強く求めるあまりに、自分たちの居場所が教育現場であることを忘れてしまう大人たちがいます。
そのような大人たちから生徒を守るためにこそ、塁上もしくはグラウンド外からのサインの伝達行為を撲滅するべきだと思うのです。
高校野球のサインは単純で良い。でなければ試合時間が長くなってしまう。
高校野球の最大の魅力の一つに試合テンポの良さがあると思います。
基本9イニングの戦いを、短い時間にギュッと凝縮した高校野球の後にプロ野球を観ると、「ピッチャーとっとと前に投げろや!」なんて心の中で叫んでしまうこともしばしばです。
ですが、サイン盗みが蔓延ると、こういった高校野球の良さが失われてしまう恐れがあります。
「サインを盗まれる方が悪い。」という人もいます。
サインを盗まれないための方法となると、複雑なサインを出すという方向にいかざるを得ません。
例えば一つの手法として、乱数表を用いるという方法もあります。
グローブの親指付近に乱数表を貼り付けておき、捕手は投手に指で算数問題を出します。
その問題の答えと乱数表を照らし合わせて捕手のサインを読み解きます。
これはまずバレません。バレても走者は計算をして打者に伝えられません。
ですが、最大の問題点があります。バッテリー間のサイン交換の時間が長くなってしまい、試合時間が長くなってしまいます。
高校野球の良さの一つが失われ、夏の甲子園のように1日に4試合開催することなど不可能になるのではないでしょうか。
やはり高校野球のサインは簡単にバレるような単純なもので良いと考えます。
各チーム、各選手がルールを厳守すれば何の問題もありません。
ですが、ズルをしているチームが得をするという状況が起こるのならば、やらなきゃ損だと考えるのも当然のことだろうと思います。
それに対して、生徒の立場に立ってみるとどうでしょうか。
規則違反をやれと指導されてうれしいでしょうか。
ルール違反のズルをして勝って気まずくはないでしょうか。
甲子園に出場し、衆人環視の下でズルをして問題になり、心穏やかに過ごせるでしょうか。
もしかしたら、一生心に闇を抱えることとなり、秘密を墓まで持っていく決意をせねばならないのではないでしょうか。
そのような問題が起きるのを防ぐためにこそ、高野連はサイン伝達行為の撲滅に力を入れなければなりません。
平成も終わり、新たな時代の幕が開けます。
新たな時代の高野連がやるべきことは、生徒を指導者から上級生からのパワハラから守り、健全な教育現場をつくり、そのうえで高校野球の更なる発展を目指していくべきだと思います。
違反であるサイン盗みを技術として肯定する。サイン盗みを学生の本文である勉強に置き換えるならば、「カンニング」と例えるのが妥当だろうと思います。
バレなければカンニングも技術だ。
こんなバカなことを言う人には教育者の資格はないだろうと思います。
野球界に蔓延るカンニングを撲滅するためにも、塁上のランナーは紛らわしい動きはしないというルールにして徹底をするのが良いと考えます。
公式戦では専門の人員を割いて、グラウンドの内外に目を光らせるぐらいのことをした方が良いかもしれません。
それが生徒を守ることに繋がると思います。
今回の件、星稜の監督に注意をして終わろうとしているように見えますが、それが本当に球児のため、高校野球の未来のためにベストな選択なのでしょうか。
本件が大きな問題として取り上げられたのは、行き過ぎた勝利至上主義に対する見直しを検討するのにちょうど良い機会だったように思えるのですが。
タイミング的にも平成の終わりで、不要な過去の遺物を時代の流れにポイするチャンスだと思うんですけど…。
PS…中途半端な対応をするくらいなら、サイン伝達行為を禁止するルールの撤廃も検討すべきかと。その場合は、グラウンド外から影響力を発揮できないようにしないと。フェアに競える環境づくりは大人の仕事ですね。